コラム

Meta広告の「10素材アップロード」は正解か。画像ごとの数字が出ない指標があります

Meta広告で、1つの広告に画像と動画を最大10件まで入れられるようになりました。これまでは1つの広告セットの下に広告を何本も作り、素材ごとに数字を見比べるのが定番の組み方でした。その手間が要らなくなる、という触れ込みです。

そこで2つの疑問が出ます。本当に10件入れたほうがいいのか。入れたとして、画像ごとの結果は見られるのか。Metaのビジネスヘルプセンターを一次情報として当たったところ、どちらも「はい」でも「いいえ」でもない答えでした。しかも肝心の部分が、日本語のヘルプに載っていません。

この記事でわかること

  • 「1つの広告に複数素材」は、すでに3代目の機能になっている
  • Meta自身が「量よりも質を優先することをおすすめします」と書いている
  • 今動いているキャンペーンには、この機能を追加できない
  • 画像ごとの結果は見られる。内訳の[クリエイティブ]→[メディア]
  • ただしカスタムコンバージョンと、標準イベントのうち8つは出ない
  • その手順が書かれたヘルプは、日本語に翻訳されていない

まず結論|10件入れるかどうかより、先に確認することがあります

この記事の要点

  • 10件は上限であって、推奨値ではありません。Metaのヘルプには「あまり自信のないアセットをいくつも使用するよりも、説得力のあるアセットを2つ組み合わせるほうが効果的です」と書かれています。
  • 今動いている広告には追加できません。使えない条件に「Active or paused campaigns」とあり、新しくキャンペーンを作るときにしか選べません。
  • 画像ごとの結果は見られます。広告マネージャの内訳から[クリエイティブ]→[メディア]を選びます。
  • ただし出ない指標があります。カスタムコンバージョンと、標準イベント17個のうち8個(Contact・Schedule・FindLocation など)は画像ごとに出ません。同じ「資料請求完了」でも、実装しだいで見え方が変わります。

順に、ヘルプの原文を示しながら見ていきます。

何が変わったのか。広告を分けなくてよくなりました

1つの広告に、画像と動画を最大10件

Metaのヘルプにはこうあります。「広告フォーマットとして[フレキシブル]を選択すると、1つの広告キャンペーンで最大10件の画像と動画を選択でき、広告配信システムによって、シングル画像、動画、またはカルーセルなど、メディアやその組み合わせが自動的に決定されます」。

同じページには、これまでの手間について「異なるフォーマットをテストするために、広告セットごとに他の広告を作成する必要もありません」とも書かれています。広告を何本も作って並べる、という組み方をやめてよい、という意味です。

Metaビジネスヘルプセンターのフレキシブル広告フォーマットのページ。冒頭に英語の移行案内が残っている
画面1:日本語ページなのに、冒頭の案内文だけが英語のまま残っています(2026年9月9日に確認)

この機能は3代目です

ここで注意が要ります。上の画面の黄枠には「This feature may not be available to you. If you no longer have access to the flexible format in Ad setup, learn more about multi-media ads and customizing your ad creative.」とあります。「フレキシブル形式が使えなくなっていたら、マルチメディア広告のほうを見てください」という案内です。

つまり同じ「1つの広告に複数素材」の機能が、名前を変えながら3代目に入っています。ダイナミッククリエイティブは2024年6月以降、「売上」「アプリの宣伝」では新しく使えなくなりました。次のフレキシブル広告フォーマットも、いまはマルチメディア広告に置き換わりつつあります。

ダイナミッククリエイティブ、フレキシブル広告フォーマット、マルチメディア広告の3世代を比較した表
図1:機能そのものは同じ流れの延長です。呼び名と使える範囲が変わっています

そのため、3年前の記事を読んで設定しようとすると、画面に同じ項目が見当たらないということが起きます。Meta広告の情報は、いつの世代の話なのかを確かめてから読むのが安全です。配置まわりでも同じことが起きています(Meta広告の「手動配置」が消える件)。

【質問1】10件入れたほうがいいのか

Meta自身は「量よりも質」と書いています

結論から書くと、10件は上限であって、目標値ではありません。Metaのベストプラクティスにはこうあります。

「ダイナミッククリエイティブ広告には最大10個のアセットを選択できます。しかし、量よりも質を優先することをおすすめします。あまり自信のないアセットをいくつも使用するよりも、説得力のあるアセットを2つ組み合わせるほうが効果的です。」(Metaビジネスヘルプセンター・原文ママ)

Metaビジネスヘルプセンターのベストプラクティス。量よりも質を優先することをおすすめしますと書かれている
画面2:「説得力のあるアセットを2つ」。10件ではなく2件が例に挙げられています

枠が10あるからといって、施工事例の写真を手当たり次第に10枚入れる意味はありません。手元に自信のある素材が3枚しかないなら、3枚で始めるのが公式の推奨に沿った使い方です。

そもそも使えない条件があります

もうひとつ、入れる前に確認すべきことがあります。マルチメディア広告のヘルプには「Unsupported features(使えない機能)」という一覧があり、そこにキャンペーンのステータスが「Active or paused campaigns」と書かれています。

これは今動いている、または一時停止しているキャンペーンでは使えないという意味です。既存の広告に素材を足す形では選べません。新しくキャンペーンを作るときにだけ現れる選択肢です。

マルチメディア広告で使えない機能の一覧表。キャンペーンステータスやコンバージョンの場所が並ぶ
画面3:使えない条件の一覧。この表があるのは英語版のヘルプページだけです

工務店の広告で引っかかるのは、この4つ

一覧のうち、工務店・リフォーム会社の広告で実際に問題になりやすいのは次の4つです。

工務店の広告で引っかかりやすい4つの条件をまとめた表
図2:とくにリード獲得フォームと来店コンバージョンは、住宅会社でよく使われている設定です

資料請求をFacebook・Instagram内のリード獲得フォーム(インスタントフォーム)で受けている会社は、この時点で対象外になります。見学会の来場予約を来店コンバージョンで取っている場合も同じです。施工事例をカルーセルで並べる型とも併用できません。

【質問2】画像ごとの結果は見られるのか

見られます。内訳の[クリエイティブ]→[メディア]です

ここが今回いちばん確認したかった点です。答えは「見られます」でした。Metaのヘルプに手順がそのまま書かれています。

「Click Breakdown to see the dropdown menu. Click Creative and select Media. You’ll see results broken down by each asset you uploaded.」
(内訳をクリックしてメニューを開き、[クリエイティブ]から[メディア]を選ぶと、アップロードしたアセットごとに結果が分かれて表示されます)

テキストのバリエーション別も、途中で外した素材の結果も、それぞれ別の内訳で見られると書かれています。ここだけを読むと、10件入れても数字は追える、という話になります。

ただし、内訳が出ない指標があります

同じページに、折りたたまれた注意書きがあります。開くとこうあります。「You can see most reporting breakdowns, except for custom conversions and the following:」——大半の内訳は見られるが、カスタムコンバージョンと、続けて挙げられる8つのイベントは例外だ、という意味です。

画像ごとのレポート手順と、内訳が出ないイベントの一覧
画面4:上が手順、下が例外の一覧。Contact・Schedule・Find location が並んでいます

8つの内訳は Donate/Contact/Start trial/Submit application/Subscribe/Schedule/Customize product/Find location です。問い合わせ、予約、店舗検索、応募。工務店の広告で使いそうな名前が並んでいます。

「標準イベントなら大丈夫」ではありません

ここは読み間違えやすいところです。除外されている8つも、すべて標準イベントです。「カスタムコンバージョンはダメだが、標準イベントなら見られる」という線引きではありません。

Metaピクセルの標準イベントは全部で17個です。そこから上の8つを引くと、残る9個は除外リストに入っていません。そのなかには Lead(リード)、Purchase(購入)、CompleteRegistration(登録完了)が含まれます。

画像ごとに見られる指標と見られない指標を整理した表
図3:分かれ目は「標準イベントかどうか」ではなく「除外リストに載っているかどうか」です

実務ではここが効きます。同じ「資料請求完了」でも、標準イベントの Lead で数えているなら画像ごとに見られ、サンクスページ到達で自作したカスタムコンバージョンで数えているなら見られません。成果の中身は同じなのに、実装のしかたで見え方が変わります。コンバージョンの設計そのものが数字を左右する、という点は自動入札でも同じでした(問い合わせのCVに営業メールが混ざると自動入札は歪みます)。

逆に、来場予約を Schedule、電話問い合わせを Contact で取っている場合は、標準イベントであっても画像ごとには出ません。イベント名の見た目で判断せず、除外リストと突き合わせて確かめてください。

この手順は、日本語のヘルプに載っていません

付け加えると、この内訳の手順が書かれたページは2026年9月9日時点で日本語に翻訳されていません。ページを開くと「このヘルプページは日本語に翻訳されていません」と表示されます。

一方、日本語で用意されている「Meta広告レポートの内訳の仕様」には、内訳として[目的][時間][配信][アクション]の4つしか書かれていません。[クリエイティブ]も[メディア]も出てきません。日本語のヘルプだけを読んでいると、「画像ごとの数字は見られない」と結論してしまう構造になっています。

「広告を分ける」やり方は間違いだったのか

Metaは、広告を手で切り替えるテストを推奨していません

ここまで読むと、従来の「広告を複数作って比べる」やり方が古いように見えます。ただ、Metaはそちらにも注文をつけています。A/Bテストのヘルプにこうあります。

「広告セットやキャンペーンを手動でオンまたはオフに切り替えるような略式のテストはおすすめしません。そのようなテストでは、広告の配信が非効率になり、テスト結果の信頼性が低くなる可能性があります。(中略)A/Bテストなら、オーディエンスを均等に分割し、統計的に比較できますが、略式のテストではオーディエンスが重複することがあります。」(原文ママ)

広告を並べて数字を見比べるやり方には、同じ人が両方の広告を見てしまうという穴があります。だから数字は取れても、勝ち負けの判定には使いにくい。Metaはそう言っています。

3つのやり方は、目的が違います

整理すると、3つは優劣ではなく用途の違いです。

1つの広告に複数素材、広告を分ける、A/Bテストの3つを比較した表
図4:配信量を取りたいのか、成果を素材ごとに数えたいのか、勝ち負けを決めたいのか

成果まで含めて素材ごとに数えたいなら、今も広告を分けるほうが確実です。広告を分ければ、カスタムコンバージョンも来場予約も、広告ごとの列にそのまま出ます。逆に、素材が十分にあって配信量を伸ばしたい場面では、1つの広告にまとめたほうがMetaの配信システムに選択肢を与えられます。

工務店の広告では、どう組むか

支援の現場での判断は、だいたい次のように分かれます。

3つのパターン

  • 素材が2〜3点しかない:まとめる意味が薄いので、従来どおり広告を分けます。Metaも「説得力のあるアセットを2つ」と書いています。
  • 素材は多いが、成果を素材ごとに知りたい:広告を分けます。カスタムコンバージョンや、除外リストに載っている標準イベントで数えているなら、まとめた瞬間にその数字が画像ごとには出なくなります。
  • 素材が多く、まずは配信量と反応を見たい:まとめる価値があります。上流の指標は画像ごとに見られるので、反応の良い素材を選び出す用途には使えます。

いずれの場合も、いきなり全部を切り替えないことです。マルチメディア広告は今動いているキャンペーンには追加できないため、試すなら新しいキャンペーンを1本だけ立て、既存と並走させることになります。自動化の範囲が広がるほど、運用側が握れる制御がどこに残っているかを確かめる作業が重要になります(P-MAXの「最終ページURLの拡張」をオフにする前に)。

今日やること3つ

今日やること3つをまとめた表。広告構成の書き出し、コンバージョンの確認、新規キャンペーンでの試行
図5:2つは見るだけです。設定を変える必要はありません

いちばん大事なのは2つめです。広告マネージャで、いま成果として数えているコンバージョンの名前を確かめてください。カスタムコンバージョンだった場合と、標準イベントでも Contact・Schedule・FindLocation・SubmitApplication・Subscribe・Donate・StartTrial・CustomizeProduct のいずれかだった場合は、1つの広告にまとめた時点でその数字が画像ごとには出なくなります。Lead で数えているなら、まとめても画像ごとに追えます。

まとめ

「最大10件アップロードできる」という機能の説明だけを読むと、素材を詰め込むほど良いように見えます。実際にヘルプを最後まで読むと、Meta自身は「量よりも質」と書き、使えない条件を並べ、レポートの例外を折りたたみの中に置いていました。

10件入れるかどうかは、素材の数の問題ではありません。その広告で何を数えたいのか、という問題です。成果を素材ごとに数えたいなら広告を分ける。反応を見て素材を選び出したいならまとめる。ここを決めてから枠を埋めてください。

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出典

  • Metaビジネスヘルプセンター「フレキシブル広告フォーマットについて」(日本語版・2026年9月9日に確認。最大10件の記載、広告セットごとに他の広告を作成する必要がない旨、冒頭の英語の移行案内)
    https://ja-jp.facebook.com/business/help/835561738423867
  • Metaビジネスヘルプセンター「About multi-media ads and customizing your ad creative」(英語版・2026年9月9日に確認。1つの広告に最大10件、自動配信のしくみ、Unsupported features の一覧、対応する目的とコンバージョンの場所)
    https://ja-jp.facebook.com/business/help/1530327025203003
  • Metaビジネスヘルプセンター「View creative performance for individual media assets in your ad」(英語版・2026年9月9日に確認。内訳→クリエイティブ→メディアの手順、内訳が出ないカスタムコンバージョンと8イベント、フォーマット表示オプションの注意)
    https://ja-jp.facebook.com/business/help/1822387965412520
  • Metaビジネスヘルプセンター「クリエイティブをアップロードして配置ごとにカスタマイズする」(日本語版・2026年9月9日に確認。アップロード手順、バリエーションのグループ化とクリエイティブの上限)
    https://ja-jp.facebook.com/business/help/993085056856480
  • Metaビジネスヘルプセンター「Meta広告レポートの内訳の仕様」(日本語版・2026年9月9日に確認。内訳は目的・時間・配信・アクションの4つ)
    https://ja-jp.facebook.com/business/help/334565827335725
  • Metaビジネスヘルプセンター「ダイナミッククリエイティブについて」「ダイナミッククリエイティブを使用した広告のベストプラクティス」(日本語版・2026年9月9日に確認。2024年6月以降の制限、量よりも質、結果は集計パフォーマンスとして表示される旨)
    https://ja-jp.facebook.com/business/help/170372403538781
  • MetaピクセルAPIリファレンス「標準イベント」(日本語版・2026年9月9日に確認。標準イベントは全17個)
    https://developers.facebook.com/docs/meta-pixel/reference
  • Metaビジネスヘルプセンター「A/Bテストについて」(日本語版・2026年9月9日に確認。略式のテストを推奨しない旨、オーディエンスの重複)
    https://ja-jp.facebook.com/business/help/1738164643098669

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