検索1位でもクリックは9%。AI検索時代に工務店・リフォーム会社が投資すべきページ
「順位は落ちていないのに、ブログのアクセスだけ減っている」——2026年に入ってから、住宅・リフォーム業界のクライアント様から立て続けにいただくようになったご相談です。原因は順位ではありません。検索結果の上にAIの回答が出るようになり、1位でもクリックされなくなったためです。日本の情報収集型キーワードでは、AI Overviews が表示された場合の1位クリック率が半年で62.7%減まで悪化しました。
ただし、この数字だけで「SEOはもう終わり」と結論を出すのは早すぎます。同じ時期のデータを丁寧に見ると、削られているキーワードと、ほとんど削られていないキーワードがはっきり分かれています。本記事では2026年6〜8月に出た3つのデータを突き合わせ、工務店・リフォーム会社のSEO対策と集客の投資先をどう組み替えるべきかを具体的に整理します。
この記事でわかること
- AI Overviews で1位のクリック率がどこまで落ちたか(日本の実測値)
- 削られるキーワードと、削られないキーワードの境界線
- AIが引用する情報源の77%が「自社サイト以外」だという事実
- 6月に登場した「生成AIパフォーマンスレポート」で測れること・測れないこと
- 投資先の組み替えとKPIの置き換え方
データ①|検索1位でもクリック率は9.0%。半年でここまで落ちた
SEOツールを提供する Ahrefs が2026年7月に公表した調査で、日本の情報収集型キーワードにおいて、AI Overviews が表示された場合のオーガニック1位のクリック率低下幅が62.7%に達したことが分かりました。2025年12月時点では38.0%だったので、半年で24.7ポイント悪化したことになります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 1位の想定クリック率 | 24.1% |
| AI Overviews表示時の実測クリック率 | 9.0% |
| 低下幅(2026年6月・日本) | 62.7% |
| 低下幅(2025年12月・日本) | 38.0% |
| 低下幅(2026年6月・米国) | 68.8% |
※ 出典:Ahrefs(2026年7月16日調査/2025年12月と2026年6月を比較)。日本語圏の報道は Web担当者Forum 2026年7月29日
実務的な意味は単純です。「1位を取れば10人に2人強がクリックしてくれる」という前提が、「10人に1人未満」に変わったということです。順位を維持する努力をしていても、記事のセッション数は勝手に半分近くまで落ちます。
水準は米国より低いが、落ちるスピードは日本のほうが速い
米国の低下幅は68.8%で、絶対値では日本より6.1ポイント大きい状態です。ただし日本は半年で24.7ポイント悪化しており、この差が埋まるのは時間の問題と見るのが自然です。「日本はまだ影響が小さい」という前提で様子を見る余裕はあまりありません。
データ②|「地域名+業種」で探す人は、まだ削られていない
ここが本記事でいちばんお伝えしたい点です。AI Overviews はすべての検索を等しく飲み込んでいるわけではありません。
ローカルSEOツールを提供する Whitespark が米国3都市・6業種・540クエリを対象に行った調査では、ローカル系検索の全体平均で AI Overviews の表示率は68%、従来のローカルパック(地図の3枠)は39%という結果でした。この数字だけを見ると「地図枠はもう出ない」と読めてしまいますが、クエリの意図別に分解すると景色がまったく変わります。
| クエリの意図 | 例 | AI Overviews | ローカルパック |
|---|---|---|---|
| ローカル意図 (依頼先を探している) | 「浜松市 リフォーム会社」 | 15% | 93% |
| ハイブリッド意図 | 「浜松市 リフォーム 費用」 | 97% | 17% |
| 情報提供意図 (調べものをしている) | 「リフォーム 費用 相場」 | 92% | 6% |
| 全体平均 | — | 68% | 39% |
※ 出典:Whitespark(米国ヒューストン・フェニックス・デンバー/配管工・弁護士・歯科・検眼・医療クリニック・不動産の6業種/540クエリ/2025年5月)。米国のデータであり、日本の検索結果とは差があります
「68%」という数字の読み方に注意する
この68%は調べもの系のクエリを含めた平均値です。実際に「依頼先を探している人」が打つローカル意図のクエリに限れば、AI Overviews の表示は15%、ローカルパックは依然として93%で表示されています。
Ahrefsの調査が「情報収集型キーワード」を対象にしていたことと合わせると、2つのデータは同じことを別の角度から言っています。
2つの調査が示している境界線
- 削られる:「〇〇とは」「リフォーム 費用 相場」「補助金 いくら」——答えが1つに決まる調べもの。AIが要約して完結してしまう
- 削られにくい:「浜松市 リフォーム会社」「中区 外壁塗装 業者」——依頼先を選ぶ検索。誰に頼むかはAIが決められないので、地図枠と個別サイトが残る
つまり、いま起きているのは「SEOの終わり」ではなく、検索の中で価値のある場所が移動しているという現象です。工務店・リフォーム会社にとっては、むしろ受注に近いキーワードが相対的に守られている状況とも言えます。
※ Whitespark の調査は米国・2025年5月時点のもので、業種にリフォーム・工務店は含まれていません(最も近いのは配管工と不動産エージェント)。日本の実際の検索結果は、必ずご自身のエリアと業種のキーワードで確認してください。
データ③|AIが引用しているのは、あなたの会社のサイトではない
もう1つ、押さえておくべきデータがあります。AI Overviews が回答をつくるときに、どこから情報を引いているかという話です。
23,000件超の引用を分析した Omniscient Digital の調査によれば、ブランド名での検索であっても、自社が管理しているコンテンツからの引用は約23%にとどまり、残りの77%は自社サイト以外から引かれています。引用元の内訳では Reddit が21%、YouTube が18.8%を占めるという報告もあります。
| 項目 | 割合 | 出典 |
|---|---|---|
| 自社が管理するコンテンツ(ブランド名検索) | 約23% | Omniscient Digital(23,000件超の引用を分析) |
| 自社サイト以外からの引用 | 約77% | 同上 |
| 21% | Averi.ai ほか | |
| YouTube | 18.8% | 同上 |
※ 各数値は調査主体・対象が異なるため、合計が100%になる内訳ではありません。出典:Search Engine Journal(2026年7月22日)が各調査をまとめたもの
「自社サイト+Googleビジネスプロフィール」だけでは露出が完結しない
自社の名前で検索されたときですら、AIの回答の8割近くが他人の書いた情報を根拠にしている——これは、公式サイトを整えるだけでは自社の説明をコントロールできなくなったということです。実際に2026年8月には、公式サイトではなく個人が書いたまとめ記事が、複数社分の出典として使われている事例も報告されています。
やるべきことは3つに整理できます。
AIに正しく引用されるための3点
- エリア別ページに事実をテキストで書く — 対応エリア(市区町村名まで)、施工実績数、価格帯、対応工法。画像の中の文字はAIに読まれません
- 社名・住所・電話番号の表記を全媒体で統一する — 自社サイト、Googleビジネスプロフィール、各種ポータル、SNS。「株式会社」の位置、丁目のハイフン表記まで揃える
- 自社の外に言及をつくる — 地域ポータルへの掲載、YouTubeでの施工動画、業界メディアへの寄稿。引用される確率は「どこに情報があるか」に比例します
Search Consoleに「生成AIでの表示回数」が見られるレポートが追加された
ここまでは環境の変化の話でしたが、測定手段のほうも動きました。2026年6月3日、Googleは Search Console に「生成AIパフォーマンスレポート」を追加すると発表し、8月11日ごろに対象サイトが大きく広がりました。
AI Overviews や AI Mode に自社サイトがどれだけ表示されているかを、はじめて公式に確認できるようになったレポートです。ただし取得できる指標は表示回数のみで、通常のパフォーマンスレポートにあるクリック数・掲載順位・検索キーワードは含まれません。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 取得できる | 表示回数(インプレッション) |
| 分解できる軸 | ページ/国/デバイス/日付 |
| 取得できない | クリック数、クリック率、掲載順位、検索キーワード |
| レポートが出ない条件 | ①段階的リリースで未展開のプロパティ ②生成AI機能での表示回数が一定量に満たない ③生成AI機能からオプトアウトしている |
※ 出典:Google Search Central Blog(2026年6月3日)/Search Console ヘルプ
まずやること
Search Console を開き、このレポートが表示されるか確認してください。表示されていれば、今月から月次レポートの定点項目に加えます。クリック数が取れない以上「AI検索経由の成果」までは分かりませんが、ブログのセッションが落ちたときに「AI検索での表示は増えているのか、そもそも露出ごと失っているのか」を切り分けられるようになります。この切り分けができるかどうかで、打つ手がまったく変わります。
「Search generative AI control」は有効化しない
あわせて、AI検索からの除外設定(Search generative AI control)も提供が始まっています。ただし現時点では一部のサイト所有者のみ(英国が先行)に限られており、地域ビジネスにとっては基本的に不利になるため、有効化は推奨しません。露出の機会を自ら手放すことになります。なお、この設定は通常の検索順位には影響しません。
投資先をどう組み替えるか|SEO対策の優先順位
3つのデータを踏まえると、集客のためのSEO対策の優先順位ははっきりします。調べもの系の記事を量産する方向から、依頼意図のあるページを厚くする方向へ比重を移すことです。
| 優先度 | 施策 | なぜ効くか |
|---|---|---|
| 高 | 施工事例ページ | 「この会社に頼めるか」を判断する材料。AIが要約できない一次情報であり、依頼意図の検索から直接入ってくる |
| 高 | エリア別ページ | ローカル意図のクエリはAIに削られていない領域。対応エリア・実績・価格帯を市区町村単位でテキスト化する |
| 高 | 料金ページ | 「いくらか」は最後まで自社サイトで確認される。相場記事ではなく、自社の価格を出すページに投資する |
| 中 | Googleビジネスプロフィールの運用 | ローカル意図クエリではローカルパックが93%表示される。口コミ・投稿・写真の更新はそのまま露出に効く |
| 中 | YouTube・地域ポータルでの露出 | AIの引用元として実際に使われている。自社サイトの外に言及をつくる手段 |
| 低 | 「〇〇とは」型の解説記事の新規量産 | 順位が取れても流入が半減する領域。既存記事は残しつつ、新規の投資は絞る |
誤解のないように補足すると、ブログをやめるべきという話ではありません。調べもの系の記事は、指名検索や施工事例への内部リンクの入口として、また営業時の説明資料として引き続き機能します。変えるべきなのは「何本書いたか」で評価するのをやめることです。
KPIを組み替える
流入の総量が構造的に減る以上、セッション数を目標に置き続けると「頑張っているのに未達」が続きます。評価する指標のほうを、AI検索後の現実に合わせて置き換えます。
| これまでのKPI | これからのKPI | 確認する場所 |
|---|---|---|
| ブログのセッション数 | 指名検索数(社名・「社名+地域」での検索) | Search Console の検索クエリ |
| 記事の公開本数 | 問い合わせ数・資料請求数 | GA4のキーイベント |
| 平均掲載順位 | エリア別ページ・施工事例のセッション数 | GA4のランディングページ |
| (測っていなかった) | 生成AI機能での表示回数 | Search Console 生成AIパフォーマンスレポート |
| (測っていなかった) | ルート検索数・電話タップ数 | Googleビジネスプロフィール |
特に指名検索数は、AI検索時代にいちばん素直な指標です。AIの回答を読んで「この会社に頼もう」と思った人は、次に社名で検索します。ブログのセッションが減っていても指名検索が増えているなら、その投資は効いています。
よくある質問
Q. 既存のブログ記事は削除したほうがいいですか?
削除しないでください。順位が付いている記事は、指名検索や施工事例ページへの導線として機能し続けます。手を入れるとしたら、記事の末尾に自社の施工事例・料金ページへの内部リンクを足すことです。AIに要約されて記事内で完結する前提であっても、読みに来た人を次のページへ送る設計にはまだ意味があります。
Q. AI Overviews に自社を載せる方法はありますか?
「載せる」設定はありません。できるのは引用される確率を上げることだけで、具体的には事実をテキストで明記することに尽きます。対応エリア、施工実績数、価格帯、工法、保証内容。画像やPDFの中の情報は読まれにくいので、HTMLのテキストとして書いてください。
Q. 生成AIパフォーマンスレポートが表示されません
3つの可能性があります。①段階的リリースでまだ自社プロパティに展開されていない、②生成AI機能での表示回数が一定量に達していない、③生成AI機能からオプトアウトしている。①②の場合は待つしかありません。露出が増えれば自然に出てきます。
Q. Googleのコアアップデートの影響ではないのですか?
コアアップデートは2026年5月以降ありません。順位が変わっていないのにアクセスだけ落ちているなら、原因はアルゴリズムの変動ではなく、検索結果ページの構造が変わったことです。Search Console で「表示回数は横ばい、クリック数だけ減っている」状態になっていないか確認してみてください。
まとめ|順位ではなく、指名されているかを見る
3つのデータから読み取れることを整理します。
- 調べもの系のキーワードは、1位でもクリック率が62.7%落ちた。記事の本数でKPIを組むのは、もう成立しない
- 「地域名+業種」で依頼先を探す検索は、まだ削られていない。ローカルパックは93%表示されている。施工事例・エリア別ページ・料金ページに比重を移す
- AIの引用の77%は自社サイト以外から来ている。自社サイトとGoogleビジネスプロフィールの整備に加えて、自社の外に言及をつくる
そして、6月に出た生成AIパフォーマンスレポートによって、この変化を数字で追えるようになりました。まずはSearch Consoleを開いて、レポートが出ているかを確認するところからで構いません。測れるようになったものは、翌月から定点で見る。それだけで、来年の打ち手の精度が変わります。
では「LLMO対策」として売られている施策はどうなのか。Googleは公式ドキュメントで、llms.txtやAI向けの書き換えなど5つを「する必要のないこと」として名指ししています。詳しくはLLMO対策は必要か。Googleが「する必要のないこと」を5つ名指ししていますをご覧ください。
「順位は落ちていないのにアクセスが減った」の原因を、数字で切り分けます。
株式会社NEXTORIAは、工務店・住宅会社・リフォーム会社に特化したAI×Webマーケティング支援を行っています。Search Console・GA4・Googleビジネスプロフィールのデータを突き合わせて流入減の原因を特定し、施工事例・エリア別ページ・料金ページの設計から月次の効果測定まで、マーケティングチームが伴走します。累計60社を超えるご支援のなかで蓄積した、住宅・リフォーム業界に固有の型をそのままお使いいただけます。
出典
- Ahrefs「AIによる概要のCTR低下が半年で加速、日本は検索1位でも62.7%減に」(2026年7月16日調査)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000157671.html - Web担当者Forum「AI Overviewsでクリック率が62.7%減! Google検索1位でもCTRはわずか9%【Ahrefs調べ】」(2026年7月29日)
https://webtan.impress.co.jp/n/2026/07/29/53036 - Whitespark「New Research: AI Overviews for Local Business Searches」(米国3都市・6業種・540クエリ/2025年5月)
https://whitespark.ca/blog/case-study-the-prevalence-of-ai-overviews-in-local-search/ - Search Engine Journal「AI Overviews Now Answer Most Local Searches – How To Get Your Business Cited」(2026年7月22日/Omniscient Digital・Averi.ai ほか各調査のまとめ)
https://www.searchenginejournal.com/ai-overviews-now-answer-most-local-searches-how-to-get-your-business-cited/580757/ - Google Search Central Blog/Search Console ヘルプ「生成AIパフォーマンスレポート」(2026年6月3日発表)